静かなラブソングを聴く度に思い出す、何気ないあの会話。

 私たちは交際歴7年の長いお付き合いでした。私は交際して5年を過ぎた頃から、結婚を意識するようになっていましたが、彼は結婚に対してとても慎重な考えを持っており、結婚に関する話をしても前向きな反応がなく、すぐに話を逸らされてしまいました。そんな彼の態度に不満が募り、友人に度々愚痴っていましたが、しかし私からアクションを起こすようなことはせずに、彼の気持ちをずっと待ち続けていました。彼はいつも記念日にはサプライズでお祝いをしてくれるので、私の誕生日や、お付き合いした記念日、クリスマス等、イベントがある度に、もしかしたらサプライズでプロポーズされるかもしれない、と密かに期待していましたが、残念ながらそれは私の独りよがりになっていました。

 そして交際して7年の月日が流れた頃、私は夏休みに友人と海外旅行に行く計画をしており、自宅で旅行雑誌を読んだり旅の準備をしていました。彼も一緒にくつろいでおり、ふたりで何気ない会話や旅先の話などしている中、パスポートの話題になりました。私のパスポートの期限が迫っていた為、私が、「今回の旅行から戻ったら後で更新に行かなくちゃ」と何気なく言った時、その言葉を聞いた彼が、「更新はすぐに行かないで」と言ってきました。私は不思議に思い「何で?」と返答したところ、彼の表情が真剣な面持ちに変わり、「僕の名字になって! それからパスポートを更新してほしい」と。その突然の言葉に私がとても驚いていると、「プロポーズ待たせちゃってごめんね」と彼は優しく言ってくれました。その瞬間に私は自然と涙がこぼれ落ち、少しの間涙が止まりませんでした。特別な記念日ではなく何気ない会話の中で、ずっと待っていたプロポーズを受けましたが、すごく自然な流れの中で、彼の想いがとても心に響く感動のプロポーズでした。

 私が涙している時に、ラジオからは偶然にも静かなラブソングが流れてきました。私は今でもその音楽を聴く度に、プロポーズの瞬間を思い出し、胸がグッと熱くなります。

スイカさん (30代・女性)

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