枯れることのない愛を形で伝える一輪のバラ。

 彼とは元々同じ職場で働いていたため、付き合ってからは日が浅いものの、知り合ってからは時間がたっていました。初めから結婚前提に付き合っており「入籍前に同棲を1年くらいしてから結婚しようか」と普段から話すくらいの関係でした。お互いの両親から、入籍する前に同棲することを反対されていましたが、やっと許しがもらえ、秋から同棲をすることができました。

 ある日、お互いの共通の友だちの結婚式にふたりとも出席。披露宴のあと、フォーマルな衣装のままデートがてらに『ライオンキング』を観に劇団四季へ。いつもと違う服装でなんだか新鮮な気持ちでした。その日は遅くなり、そのまま外泊する予定でした。いつもビジネスホテルに予約して泊まることが多く、今日もいつも通りだと思っていました。彼の後を着いていくと、いつも外から観るだけだった高級ホテルの中に、ためらいなく入っていきました。「えっ!?」と思う私を尻目に、チェックインを済ませる彼。状況が掴めず、気が付いたらボーイさんに部屋に案内されていました。部屋は今までに見たことのないくらい大きなベッドに、大阪の街の夜景を見渡せる大きな窓。夜景に気を取られてしまい、ふと我に返って後ろを振り向くと、彼が。

 手には箱に入った一輪のバラの花。「結婚してください」同棲が始まり、そのまま自然と結婚するだろうと思っていた私は、思わずプロポーズに返事が出てきませんでした。「はい」それが精一杯の私の答えでした。

 彼が持っていたキラキラ光るそのバラは、いつも彼がデートで突然くれていたものとは異なり、一生その形を留めることができる生花をコーティングしたバラでした。「これならもう枯れて悲しまないでしょ?」 私は、いつも彼からサプライズでもらったバラを、少しでも長生きさせようと毎回接ぎ木に挑戦していました。しかしうまくいかず、毎回枯らしてしまい落胆していました。そんな私を見て、このバラを選んだと。

 このバラは自宅の一番目立つところに飾っています。そして一生懸命枯れることのない愛の形を、目に見えるものにしてくれるのだと思います。

しまこさん (20代・女性)

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