しんしんと降り積もる雪に包まれ、そっとひと言告げた夜。

 東京で20年ぶりの大雪との予報。彼女の職場は自宅から約7km、バスを乗り継いで通勤しています。時間が経つにつれ積もる雪。案の定「バスが動かない」と、2時間ほど経って歩いて帰ることを決心した彼女。時刻は22時、さすがに遅いなと心配し、LINEを送るも未読のままです。きっと足元を取られ、大変な思いをしているのだろう。明日も会社なのだから最寄駅のビジネスホテルかマンガ喫茶に泊まればよいのに......。23時を過ぎ、携帯を確認すると「家の外で遊んでる」慌てて外に出ると、雪だるまを自慢してくる彼女。「こんな雪の日、どこか泊まっちゃえばよかったのに」と言うと「こんな雪の日だから、会いたくて帰ったんだよ」そういった彼女の頬は寒さでほんのり赤く、はしゃぎすぎたのか少し荒くなった息が白くなって見えました。

 「こんな日に」ではなく「こんな日だから」。一生懸命帰ってきてくれた彼女が無性に愛おしくなりました。20年ぶりの大雪なんて、今日を逃したら次は20年後。「俺も遊ぶ、準備するから少し待ってて」どうプロポーズするかいろいろ考えながらも、結局決まらないまま買ったダイヤのネックレスをポケットに隠し外へ。雪で遊びました。東京で雪遊びなんて、たぶん小学生以来です。雪玉を投げ合い、戯れながら倒れこむ。雪に包まれた彼女にひと言「結婚しよう」突然のプロポーズに腰を抜かし崩れる彼女。ネックレスを取り出し彼女に。静寂な夜の雪景色、そこはふたりだけの世界......。

 その1週間後、東京に48年ぶりの大雪が降ったのは、ここだけの話。

もっくんさん (20代・男性)

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