家族のことまで考えてくれる優しい気持ちに胸がいっぱいに。
出会いはバイト先。当時はふたりとも学生で、お互い人見知りだったのでゆっくりゆっくり仲良くなって行きました。彼氏彼女というよりも気づいたら側にいる心地よい関係でした。付き合おうとちゃんと言葉にして言われた事はなく、言葉少ない彼ですが家族に紹介してくれたり、私の家族に挨拶に来てくれたり。そういう律儀で誠実な所に惹かれました。なかでも私の祖父と凄く仲良くなり「一緒に野球観戦やお出かけに行こう!」「早くひ孫を抱かせて欲しい!」といつもふたりで楽しい会話を交わしていました。
ずっとこんな心地よい幸せが続いていくと思っていました。そんな時に祖父のガンが発覚。それから1か月余りで帰らぬ人となりした。大好きな祖父との別れ。沢山泣き自暴自棄にもなりました。そんな時ずっと寄り添って支えてくれたのが彼でした。彼も辛いはずなのに弱音ひとつ吐かず、ただじっと側に居てくれました。そんな彼を見ていつまでもこのままじゃダメだと祖父の分も前向きに生きたいと立ち直ることが出来ました。
そんな思いも束の間、次は父が心臓病で倒れました。大好きな家族が居なくなる恐怖に押しつぶされそうでした。昔からひとりが怖くて泣き虫で、そんな自分を隠して生きてきました。でもそんな隠してきた自分がじわじわ不安にさせていきました。父に会えるのはいつまでなんだろう、また祖父の様に会えなくなってしまうのだろうか。そんな不安な日々を過ごしていた年の誕生日のことでした。思い出の海の近くに車を止め、車のトランクからバラの花束を出して、0時ぴったり雨の中プロポーズを受けました。彼は「今まで付き合ってとか言えなくてごめん。ぼくと結婚してください。君をひとりになんて絶対させないから」と。そして早く結婚式を挙げてお父さんと一緒にバージンロードを歩くこと、それが今の私に出来る親孝行だと彼はそう伝えてくれました。
普段口数少なく「何を考えているの?」と思うことだらけだった彼からの優しい気持ちに胸がいっぱいになり涙が止まりませんでした。こんな風に私、そして私の家族のことまで考えてくれる人とならきっと幸せになれると思いました。
ちゃんたさん (20代・女性)
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