食い意地の張る私に、突然。放心沈黙、後、涙。

彼は私の4つ上。出会った当時彼は23歳、私は19歳でした。彼は専門学校を卒業後、20歳の時に就職を機に美容師になるため、福岡から上京してきました。そこで住むことになったのが、私が住んでいる地元だったのです。

 ある日、地元の駅前で声を掛けられました。いわゆるナンパです。その声を掛けてきたのが彼なのです。(ナンパなんて……)と心の中で正直引いている私がいました。けどその場で少し話してみると、とても丁寧で良い人という印象を受けました。「今度良かったらカットさせて下さい!」と言われ、(まぁカットだけなら良いかな)と了承、連絡先を交換しました。そこから連絡を取るようになったり、実際にカットをしてもらったり、遊びに行ったり、彼と一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど気が付いたら彼に惹かれていってる私がいました。

 そんな出会いから約半年後、先に声を掛けてきた彼以上の私の猛アタックのかいもあり(笑)、横浜の某展望台で彼から告白。交際に至りました。そこからは喧嘩はしつつも、順調に交際が進み、私が就活している時も常に彼が側で支えてくれたり……。気が付いたら交際が始まってから2年半が経っていました。その頃は彼は25歳、私は21歳でした。私も専門学校に通っていたので、順調に社会人となっていました。そして2年半の記念日、彼からのお誘いもあり、告白をしてもらったふたりの思い出の場所、横浜でディナーをすることになりました。

 そもそも私たちは1ヶ月や半年単位では記念日は気にしないタイプで、お祝いはいつも1年ごとだったので(なんで2年半のタイミングでお祝いディナー?)と疑問に思ってました(笑)。でも誘ってくれたのが素直にうれしくてルンルンだった私は、当日は前菜やメイン料理もご機嫌に完食! 残すはデザートのみとなった時でした。急に彼が「最近、何もプレゼント出来てないよね、ごめんね」と言い出したのです。私は彼のその言葉の深い意味も考えずに「別にプレゼント貰うために付き合ってるわけじゃないし、全く気にしてないよ~!」と答えました。そこで運ばれてくるデザート。さらに彼は続けて「今日はプレゼント用意してあるんよ! なんと思う?」と聞いてきたのですが、全く見当がつかないのと、目の前にあるデザートを早く食べたい私は「うーん……、分かんない! てかこれめっちゃ美味しそうじゃない!? 食べていい?」と得意の食い意地を発揮(笑)。そんな私の反応を見てしびれを切らした彼は突然、ポケットからあるものを出してきて私に差し出しました。それは彼の名字の印鑑でした。象牙を使った特注品だそうです。そして彼は印鑑を見て唖然としてる私に向かって「結婚してください」とシンプルに言ってくれました。突然の出来事に放心状態、でもうれしくて、びっくりで、私は1分くらい泣きながら沈黙(笑)。その後にもう一度彼が「俺と結婚してくれる?」と聞いてくれ、「するぅ~」とやっと返事をすることが出来ました。

 後日、「なんで印鑑くれたの?」と彼に聞いたら、「結婚したら必ず使うものでしょ? あと琴音、婚約指輪はいらないって言ってたから」と。私はドレススタイリストという職業柄、専門学校時代から勉強のためによくゼクシィは買ってました。ゼクシィに入っていた指輪の別冊を何気なく彼の前で見ていた時に私が「婚約指輪にウン十万とかけるくらいならそのお金で結婚式の時に気に入ったドレスを着たいんだよねぇ」と言ったのを覚えていたみたいです。だから、彼の苗字の印鑑をプレゼントしてくれたようでした。

 ディナーのお店も、コース料理の種類も、事前にふたりで決めたものだったので、まさかプロポーズされるとは思ってもいなかったので本当に驚きでした。うれしくてうれしくて、でも本当にびっくりで1分間の沈黙を作ってしまった時、彼は「断られる」と不安になったようです(笑)。私の返事を聞いた後、なぜか彼も泣いていて、そんなお互いの姿を見て笑い合った、とてもいい思い出です。

 そんな素敵なプロポーズだったのですが、外は台風並みの暴風雨で、夜景が売りのレストランでしたが全く見えず(笑)。「私の食い意地」「断られるかもと彼を不安にさせる」「私の可愛くない返事」「暴風雨」「ふたりして号泣」と、感動やサプライズ感もあったけどなんとも可笑しい、いい意味で私たちらしい、そんなプロポーズだったなと思います。

 その日から2ヶ月後に同棲、4ヶ月後に結納と入籍、5ヶ月後に妊娠発覚。プロポーズを皮切りに幸せの連鎖が始まりました。そして、2017年2月にアニヴェルセル表参道さんで家族3人でのファミリーウェディングを行うことになりました。今から本当に楽しみな気持ちでいっぱいなのと、このたくさんの幸せをくれた彼、いや、旦那さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

琴音さん (20代・女性)

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