憧れのホテル、あまりのうれしさに頭の中が真っ白。

その日は私の誕生日でした。せっかくの誕生日だからと連休にディズニーデートを企画してくれた彼。元々ディズニーが大好きな私は、それだけで最高のプレゼント! と思ってワクワクしっぱなし。普段毛嫌いしているペアルックの提案もこの日は彼から。お揃いのTシャツで一緒に歩くなんて初めてで、それだけでドキドキでした。空は、梅雨だというのに天気は雲ひとつない快晴。「予報は雨だったのにね」とふたりで顔を見合わせて笑ったり、普段はケンカばかりなだけに、幸せな誕生日を噛み締めていました。

 アトラクションも目一杯楽しんで、園内をゆったり歩いていた時のことです。「へぇ~、こんなところにミラコスタの入り口があるんだね」東京ディズニーシーのホテルミラコスタは、人生で一度でいいから泊まりたいと思っていた憧れのホテルです。「せっかくだし、ちょっとだけ覗いてみようか」彼の誘いに喜んだのもつ束の間、入るのにはゲートをくぐらないといけないことが分かり「残念、入れないね」と苦笑い。そんな私に、「いや、入れるよ。予約してるから」と彼はサラッと言いのけます。あまりの衝撃にパニックの私。「は? え? どういうこと?」「部屋取ってるから、入れるよ」何が何だか分からなくて、入り口の前で入る、入らないの押し問答。変なふたりに思われてたかな。

 無事チェックインを終えて、そのままホテルのレストランでディナー。テラスからショーが見られる特典付きで、これでもかってくらい幸せを味わった私。ディナーも終盤になり、彼が席を立ちます。ケーキでも出てくるのかな? と期待したけれど、待てど暮らせどケーキは出てこず、お会計です、とスタッフさんが来る始末。確かに甘いものは得意じゃないけど、ないのはやっぱり寂しいな……、なんて考えながら、宿泊予定の部屋へ戻ると、真っ暗な部屋の中央に、ボンヤリとろうそくの明かり。ろうそくの下には一冊のアルバムが。そこには、彼と私の今日までの思い出と、彼の想いが詰め込まれていました。ページをめくるごとに、うれしいような恥ずかしいようななんとも言えない気持ちが込み上げて、意味もなくヘラヘラ笑ってみたり。こんなことする人ではないのを知っていたから、余計にうれしくて。思い出に浸りながらアルバムを閉じると、目の前には小さな箱を持ち、立て膝をついて私を真っ直ぐに見つめる彼が。「---あ、プレゼントかな」単純にそう思いました。でも、それにしては彼の表情がこわばり過ぎています。そんな彼の緊張が、私にもじわりと伝わります。---まさか。まさか。 彼がゆっくり箱を開きました。キラキラと箱の中で主張する、可愛らしいリング。私がずっと待ち望んでいたものでした。

 「結婚してください」そこからは正直頭の中が真っ白で、会話の内容もほとんど覚えていないのだけれど、うれしくて、うれしくて、気づいた時には彼に飛びついていました。「私でいいの!? お願いします!」と。

すいさん (20代・女性)

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