入念な準備と神様が与えてくれた偶然が運んだ幸せ。

それは交際3年目の記念日。僕らの大切な場所、“仙台”で。僕は名古屋、彼女は岡山が地元。お互いに縁もゆかりもない場所だったのですが、会社の転勤でふたりとも“仙台”にやってきました。それがふたりの出逢いでした。

 仙台の美味しいお酒や料理。一緒にいろいろな場所へたくさん出かけました。もちろん震災も経験しました。辛いこともたくさんあったけれど、それ以上に素晴らしい日々を過ごせたような気がします。一瞬一瞬がすごく大切な時間で、どれもこれもが素敵な思い出ばかり。いつしか「一生この人といたい」と強く思うようになっていました。自然と「自分が彼女を守りたい」と思っていたのです。

 ついに自分の中で決心がつきました。交際3年目の記念日の週末。プロポーズをすると決めました。計画にはそう時間はかかりませんでした。一緒に過ごしてきた時間を振り返り、彼女にストレートに想いを伝えるだけ。少しずつ相手にバレないよう準備を進めました。

 しかし、辞令は突然やってきました。僕は1カ月後、上司から東京本社への転勤を言い渡されます。それから数時間後、離れ離れになる寂しさに落ち込んでいた時、彼女から電話がかかってきました。「私、来月から東京へ転勤になった」。こんな運命があるのでしょうか。ただ、ただ笑いが止まりませんでした。心の底からうれしかったです。

 そして、とうとうその日はやってきました。東京転勤前、お互いに仙台で過ごす最後の週末。夕食は彼女が「いつかあんな素敵なホテルに泊まってみたいね」と言っていた、そのホテルに入っている人気の焼肉店。もちろん個室で予約。実はこのお店も「いつかは来たいね」とずっと言っていたのです。まさかの出来事に驚く彼女。最高の仙台牛を堪能し、感無量です。最高のひと時を過ごし、「せっかくだからこのホテルの最上階まで行ってみない?」と誘う僕。ここから練りに練った計画が始まります。

 エレベーターで最上階まで上がり、彼女をホテルのロビーで待たせ、預けていた鍵をもらいます。そして、いざ予約していたホテルの部屋へ。驚く彼女。「まぁいいから」と緊張気味の僕。部屋に入った途端、「ピンポーン」「記念日おめでとうございます!」とスタッフがケーキとシャンパン、そしてお祝いのお花を持ってきました。もちろんスタッフとは事前に打ち合わせをしていました。感動に感動している彼女。でも、これだけでは終わりません。記念日のお祝いと勘違いしている彼女に、ここからは僕の気持ちを伝える時間です。

 まず、仕込んでいたDVDプレイヤーのスイッチをリモコンでONにし、この何カ月かで密かに作り上げたふたりのヒストリームービーの上映です。出会った時から3年を迎える今日までが詰まった思い出を1枚に。彼女は涙を流していたが、恥ずかしながら、それ以上に自分が大粒の涙を流してしまったことが懐かしいです。そのムービーの最後に……「絶対に幸せにする。結婚してください」の文字。ポケットに仕込んでいた指輪のケースを取り出し、もう一度自分の言葉で。「絶対に幸せにする。結婚してください」「はい」今までにない幸せを感じました。彼女が振り絞って言った「はい」それだけで十分でした。

 指輪のケースの中には紙切れが一枚。「明日、一緒に婚約指輪を買いに行こう」のメッセージが。彼女が買いたい婚約指輪を選んで欲しいという思いから、このようなメッセージを添え、翌日一緒に婚約指輪を買いに行きました。

 自分の中での大プロジェクト、「サプライズプロポーズ」は大成功。でも、それ以上に、彼女と仙台で出会ったことや、東京転勤のタイミングが同じだったこと。それも含めて“サプライズ”だったのかなと思っています。繋げてくれた、縁を結んでくれた神様に感謝です。

 それから1年後、新オープンしたアニヴェルセルみなとみらいで結婚式。忘れることのできないとっても幸せで素敵な1日でした。東京に来てから2年半が経ち、今も笑顔が絶えない家庭を築けています! 来年には子供が産まれる予定で、もっともっと幸せになれそうです。

 ※実はプロポーズ当日彼女と会う直前に、ホテルでのチェックインを済ませ、事前に荷物を運んで、DVDチェックなどの準備していたので、デートは手ぶらでバレなかったのででした。

ようへいさん (20代・男性)

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