腕枕をされながら、一言一言紡ぐように。

「ねぇ、えり。結婚してくれない?」彼はものすごく言いにくそうに、でもとても、もじもじしながら優しくひと言ひと言紡ぐようにそう言ってくれました。

 彼と出会ったのは大学時代に塾講師をしていた時。もう卒業を間近に控えた頃でした。彼は優しくて、真面目で、誠実、そんな言葉がぴったりな人。そんな彼と付き合って2ヶ月経った頃、旅行から帰る車の中で何気ない昔話をしました。既にとても大切な人だったから私の辛い過去をすんなりと打ち明けようと思えました。その出来事とは、高校1年生の冬に交通事故にあったことでした。私は自転車に乗っていた際に車と衝突し、ICUに入院していたことを伝えました。現在は後遺症もなくとても元気です。ただ彼はその時、何も言わず必死に前を向いてハンドルを握っていました。家に着くと「辛かったね。これからは俺がずっと守るよ」ってそう言って彼は泣きながら抱きしめてくれました。彼はその話の後すぐに「ずっと守りたい」とそう思ってくれていたそうです。

 夜中、彼の部屋で布団の中で腕枕をされながら、お互いの将来の話をぼんやりとする中で「ねぇ、えり。結婚してくれない?」とても言いづらそうにでも素敵な笑顔でそう言ってくれました。あまりにうれしくて泣きながら「お願いします」そう言って抱き合いました。東京ディズニーリゾートでで「ねぇ、付き合ってくれない?」って付き合うきっかけをくれた時と同じように結婚へと導いてくれました。いつも自分のことよりも一番に私の気持ちを大切にしてくれる大好きな彼と2016年3月に入籍しました。

るんさん (20代・女性)

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