諦めと哀しみと幸せ。ジェットコースターのような1日。

「今日プロポーズされる」それは分かっていました。出会って6年、お付き合いして4年、嘘のつけない彼が考えることは大体お見通しでした。それなのに……!

 2014年11月22日。待ちわびたデートのために超特急で仕事を片付けて向かったソラマチ。お洒落なレストランでの夕食中も何も起こらず、隣のカップルのサプライズデザートにちょっぴりヤキモチ。スカイツリーには登るはずと思っていたら「え? 登るつもりだった?」の一言。「私の勘違いだったのかな……」と怪しくなる雲行き。「もうチケットないかも知れないけど行ってみる?」と連れて行かれたスカイツリーの入口の「受付終了」の文字に目の前が暗くなりかけたのも束の間、彼が携帯電話を提示すると「どうぞ」と中へ通されたのです! 「やっぱり私の予感は間違ってなかった!!」と、“プロポーズされ”にスカイツリーに登るも、あまりの混雑に雰囲気ゼロ。気を利かせて「頂上まで行きたい!」と追加料金の支払いを希望する私。それなのに……、静かな雰囲気で絶好のプロポーズポイントと化したスカイツリーの頂上では、パソコンの修理業者から彼にかかってくる何通もの電話。どうして……。「降りよっか」という一言に「プロポーズは私の壮大な勘違いだったんだ……」と自分の中ではどうにも整理のつかない感情に呑み込まれそうになりながら、ついに地上まで降りてきてしまいました。

 そして何故か「あっち行ってみようよ」と連れて来られたのは綺麗なイルミネーションから遠ざかった真っ暗な橋。それでも何かを感じ取った私は、彼の心の準備を待ちながら何も見えない暗い川に向かって「綺麗だね」を繰り返していました。
「萌さん……、今日は○○(私の名字)萌さんにお別れを言いに来ました」
――!?!?!?――
「△△(彼の名字)萌さんになって下さい」
「お願いします」

 勘違いじゃなかった、プロポーズしてくれた! と思う間があったでしょうか。彼の「やったー!!」の声と同時に真っ暗な橋の両脇から飛び出してきたのは、真冬と思えない格好の「葉っぱ隊」。「やった♪ やった♪ やった♪」スカイツリーの麓に響く葉っぱ隊コールに、通りすがりの方々も祝福してくれました。

 スカイツリーの頂上で彼に何度も電話をかけてきたパソコンの修理業者は、彼の高校時代の大切な仲間たちでした。冬空の下、私たちが地上に戻ってくるのをビデオカメラを回しながら待っていてくれました。期待しては裏切られ、1日のうちにジェットコースターのような感情の起伏を味わいました。仲間と笑いを大切にする彼が初めて私のために考えてくれた、渾身のサプライズ。今でも思い出す度に「やっぱりスカイツリーは頂上より麓だよなぁ!」と思うのです。

もえさん (20代・女性)

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